よく勘違いしがちなのが、「個人事業主」と「フリーランス」。言葉としては同じようなイメージを持っている方が多いのですが、実は違うのです。
個人事業主は、1人で事業を行う方や家族・従業員を雇用するなど複数人で行う場合もあります。税務署に開業届を出して、法人を設立せずに事業を運営している方が個人事業主です。
一方、フリーランスとは団体や雇用関係なく、一人で独立して仕事をしていることを指します。個人事業主との一番の違いは「開業届を出さなくても良い」点です。しかし、もちろん納税の義務はありますのでそちらはお間違えのないように。
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-目次-
自分で事業を始めて気になることに「お金」があると思います。会社員と比べて手取りの給料はどれほど変わるのか、それぞれを420万円(月収35万円×12か月)の収入と仮定して比較してみましょう。
【令和2年分以降】
収入金額(年収) | 給与所得控除額 |
---|---|
~162.5万円 | 55万円 |
162.5~180万円 | 収入×40%-10万円(※1) |
180~360万円 | 収入×30%+8万円 |
360~660万円 | 収入×20%+44万円 |
660~850万円 | 収入×10%+110万円 |
850万円~ | 195万円 |
引用元:国税庁ホームページ
上は会社員としての年収による給与所得控除額です。これを基に420万円の給与所得を計算しますと…。
総支給【420万円】-控除【128万円】=課税所得【292万円】
こちらが課税の対象となる所得です。これを基に住民税・所得税を計算すると420万円×10%=42万円+3500円(特別区民税)+1500円(都民税)となり、合計42万5千円となります。こちらは東京都品川区に住まいがあると仮定しているため、詳しくはお住いの自治体のホームページを確認してみてください。
社会保険料 | 本人負担額 |
---|---|
健康保険料(※1) | 4.935%(9.87÷2) |
厚生年金保険料(※2) | 9.15%(18.3÷2) |
雇用保険料(※3) | 0.3%(0.6%会社負担) |
社会保険料合計 | 14.385% |
こちらで計算すると、【420万円×14.385%=604,170円】となります。会社員である従業員のみが負担するのではなく、会社側も負担するため「÷2」などが計算上行われています。そして、手取り年収を計算してみると…。
会社員の手取り年収額
420万円-(42.5万円+60.417万円)=3,170,830円
会社員と同じ420万円の所得でも、経費など個人事業主は少し計算方法が異なります。ここでは売り上げ額620万円、経費200万円で事業所得420万円と考えてみます。
事業所得【420万円】-青色申告控除【65万円】=課税所得【355万円】
こちらを基に確定申告で経費計上や控除額を申告することになります。ちなみに「青色申告」は事前にしていないと、65万円の控除を受けることは出来ません。また、所得が増えても青色申告の控除額は最大65万円なので増えることはありません。
【所得税計算方法】
課税所得額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
~195万円 | 5% | 0円 |
195~330万円 | 10% | 97,500円 |
330~695万円 | 20% | 427,500円 |
695~900万円 | 23% | 636,000円 |
900~1,800万円 | 33% | 1,536,000円 |
1,800~4,000万円 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円~ | 45% | 4,796,000円 |
上記の表を基に計算をすると「355万円×20%-42.75万円=282,500円」となります。こちらが所得税です。そして住民税は、会社員の場合でも計算した「420万円×10%=42万円+3500円(特別区民税)+1500円(都民税)=42万5千円」となります。
こちらに、国民健康保険「355万円×7.14%=253,470円(東京都品川区の場合)」、国民年金は月額16,000円程度(令和2年度16,540円)を足した個人事業主の手取り年収は以下の通りです。
個人事業主の手取り年収額
420万円-(28.25万円+42.5万円+44.547万円)=3,047,030円
会社員 | 個人事業主 |
---|---|
3,170,830円 | 3,047,030円 |
比較してみると約12万円の差が出ました。さらに、年金額を考えるとさらに手取りの金額の差は開きます。ちなみに40年勤務平均年収400万円だと、会社員は受給額「約14万円/月」に対して、個人事業主は受給額「約7万円/月」です。
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